「闇を照らす」をテーマにした照明コンペティションで、西は一つの空間における光と影の共存を探求する作品を構想しました。そのコンセプトは、強い光を一方向に向け、反対側に現れる影を闇の象徴として表現するというものです。このアプローチにより、光と闇が同じ環境に同時に存在できる照明器具が生まれました。作品のタイトル「明暗境界線」は、光と影の境界を意味し、忘れられがちな闇の魅力を日常により身近に感じてもらうことを目指しています。このコンセプトは、光と闇の歴史を研究する中で、現代において闇がますます排除される傾向にある理由、そして、恐怖や不安と関連付けられることが多いこの要素に依然として必要性があるのかという疑問を深めることで、さらに影響を受けました。谷崎潤一郎の『陰影礼賛』に触発されたことで、闇は空間や物の美しさを際立たせ、人間の想像力をかき立てる重要な役割を長きにわたって果たしてきたことに気づきました。作品を通して、西は観客に闇の持つ繊細な魅力を再認識し、現代生活における闇の本質的な位置づけを再考するよう呼びかけています。